「LISTEN」ケイト・マーフィ | 「聴くこと」は自分でコントロールできる

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こんにちは、yukiです。

久々に分厚い本を読みました。

アメリカで活躍するジャーナリスト、ケイト・マーフィの「LISTEN」。

いろんなところでこの本の話題に触れる機会が重なり、やっと手に取ることができました。

日常生活の中で、誰もが当たり前に「聞く」という行為をしているけれど、一方で私たちは驚くほど人の話を聞いていないという一面も持っています。

  • 人の話を聞いている最中に、スマホを手に取る
  • 次に何を話そうかと考え、相手の話が頭に入ってこない
  • うわの空で聞いているがために返事の仕方を間違え、気まずい空気が流れる
  • 相手が言い終わる前に話をさえぎって話し始める
  • 相手が話しているのに、自分の話にすり替える

何かしら、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

まだ言葉でのコミュニケーションが取れない娘と過ごす中で、娘が何を伝えようとしているかを言外から汲み取ろうという意識は持つようになりましたが、子どもに意識が向くようになったからか、相手の思いを受け取ろうとする姿勢を持つようになったからか、大人に対しては以前にも増してちゃんと聞けていないと感じることが増えました。

家族で過ごすときはもちろん、ほとんど娘のことばかり見ているし、友だちと会うときにも娘が一緒であれば、意識の半分くらいは常に子どもの方を向いている。

仕事でメンバーから話を聞くときも、相手が話し終わっていないのに途中で遮って質問してしまうこともないとは言えない…。(これは子ども関係ない)

こんな反省だらけの私なので、この本を読み、メモを取る手が止まりませんでした。

すべて書き連ねることはできないため、私が自分の行動に即落としてみようと思ったこと3つ(+おまけ)に絞って、レビューします。

目次

本の概要

著者

Kate Murphy(ケイト・マーフィ)
ヒューストンを拠点に活動するジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、エコノミスト、AFP通信、テキサス・マンスリーなどで活躍。
健康、テクノロジー、科学、デザイン、アート、航空、ビジネス、金融、ファッション、グルメ、旅行、不動産など、多岐にわたるトピックを執筆。特に人間関係や、人がなぜそのように行動するのかを、科学的にわかりやすく解説することに定評がある。

LISTEN(Amazon)

出版

  • 出版社 ‏ : ‎ 日経BP
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/8/5

内容

★自分の視野を超えた知識が持て、一生の友人をつくり、孤独ではなくなる、ただひとつの方法★

・つまらないギャグを言う人は、大抵人の話を聞いていない

・友情を深めるいちばんの方法は、「いつもの会話」

・みんな「自分には先入観がない」と思いがち

・つじつまが合わない会話をそのままにしておくとだまされる

・なぜあの人は「空気が読めない」のか

・「自分とは違う」グループに、人は「恐怖」を抱いている

・「アドバイス」をしだす人は、きちんと相手の話を聞いていない

・「だれかの悪いうわさ」を聞くと、自己肯定感があがる

・その人の話を聴くと苦しくなる人は有害な人

当に優秀な人は聞く能力が異様に高い

「自分の話をしっかり聞いてもらえた」体験を思い出してみてください。それはいつでしたか? 聞いてくれた人は誰だったでしょうか? 意外に少ないのではないかと思います。

他人の話は、「面倒で退屈なもの」です。どうでもいい話をする人や、たくさんしゃべる人などいますよね。考えただけでも面倒です。その点、スマホで見られるSNSや情報は、どれだけ時間をかけるか自分で決められるし、面白くないものや嫌なものは、無視や削除ができます。しかし、それがどれほど大事でしょうか。

話を聞くということは、自分では考えつかない新しい知識を連れてきます。また、他人の考え方や見方を、丸ごと定着させもします。話をじっくり聞ける人間はもちろん信頼され、友情や愛情など、特別な関係を育みます。「自分の話をしっかり聞いてくれた」ら、自分の中でも思いもよらなかった考えが出てくるかもしれません。どんな会話も、我慢という技術は必要です。しかし、それを知っておくだけで、人生は驚くほど実り豊かになります。

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1. 相手が話しているときには自分の意識をそこに向ける

優れた聞き手は、余っている処理能力を頭の中での寄り道に使わず、相手の話を理論的にも直感的にも理解するために全力をあげているといいます。

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誰かの話を聞くとき、私たちの頭の中にはさまざまな思考や感情が浮かぶことがあります。

  • この人の話、ほんとに長いなぁ
  • え、何でここでこの話が出てくるの?繋がりなくない?
  • ◯◯さんと言ってたことが違うけどどうするつもりなんだろう
  • ひと段落ついたらこれ聞いてみよう
  • あれ?今日いつもとメイクが違う気がする
  • ヤバイ、あくび出そう。昨日何時に寝たっけ?
  • 今日のごはん、どうしようかしら

ふと意識が飛び、こんなことが頭をよぎるたった数秒の間に、話の一部分を聞き逃す。

そして、運の悪いことにそこが一番の肝だったりして「話についていけなくなってしまった」みたいなことが起きたりします。

直後は「話をちゃんと聞いておけばよかった…今度から集中しよう」と反省するものの、また同じようなことをやってしまったりするんですよね。

この本を読み、まずは「頭の中に、今聞いている話とは関係のないことが浮かんだとしても、いったん目の前の相手に意識を戻して話に集中する」ということを心がけるようにしてみました。

すると不思議なことに、話の内容だけでなく、相手の細かい表情や息づかい、目の動きなどから相手の気持ちがぐんぐん自分の中に入ってくるような気が。

ちょっとした心がけレベルでここまで違いが出るなんてびっくり。これまでいかに人の話を適当に聞いていたかということを身に沁みて感じました

もちろん、毎回うまくいくわけではなく、これまでのように意識が別のところへ飛んでしまうこともあれば、仕事で上司と話すときには「どうやって切り返そう」と考えながら話を聞くことも。

場合によっては自分にそれを許しつつ、一方で集中して聞くことから得られるものはとても多いと実感しているので、これからもできる限り相手に集中して話を聞く瞬間を長く持ちたいと思っています。

頭の中に他のものが浮かんだとしても、それを一旦横に置いておいて目の前のことに集中する。他のchapterに書かれていましたが、こういう風に話を聞くことは瞑想に近いものがありますね。

2. 聞くことは自分で完全にコントロールできることだと認識する

人生で起きることは自分の思い通りにならないことばかりですが、聞くことは例外で、自分で完全にコントロールできます。あなたの意識を向ける価値のある人は誰か、自分で決められるのです。

聞くことをあなたに強いるなど、誰にもできません。人の話に耳を傾ける能力は贈り物であり、誰にどう授けるか、あなたが決めるのです。

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さまざまな経験をする中で、あらゆる物事をあらゆる視点から考えてきたけれど「聞くことだけは完全に自分でコントロールできる」なんてことが頭に浮かんだことは一度もなく、私にとっては目から鱗の考え方でした。

たしかに、誰に意識を向けるのか、何を考えるかということは、特別なシチュエーションでない限り誰かに指示されることはなく、完全に自分が決めること。

あまりにも当たり前すぎて、この一文を読むまで一度も意識したことがなかったことに気づきました。

そして、著者はこんなことも言っています。

「意識を向けないこと」も、意識的に、かつ意図をもって決めなくてはなりません。聞かないという選択肢が現実的で理にかなっている場合もあるでしょう。しかし、聞かないことは拒絶のひとつの形であることは変わりません。意識的にせよ、無意識的にせよ、あなたは別のことに注意を向けるという選択をしており、少なくともそのときは、話し手はおもしろくなく、重要でもなく、価値もないと暗にほのめかしていることになってしまいます

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意識を向ける対象を自分で決められるということは、意識を向けない対象も自分で決められるということ。

そして、その選択をする権利は誰もが持っているということ。

誰かと話をするたびにこの2つを意識するなんて到底やっていられないけれど、ふとした瞬間に思い出したり、じっくり考えを巡らせるときに振り返って考えてみることはできるかな、と。

自分が意識をするかしないに関わらず、また相手がそれを意識するかしないにも関わらず、「聞かない」選択する=相手を拒絶するという事実は、頭の中に止めておこうと感じました。

3. 身近な人に対する「相手の言うことが分かる」という思い込みをなくす

…つきあいが長くなると、互いに相手への好奇心を失いがちだから、というものでした。必ずしも思いやりがないからではなく、単に相手を知っていると思い込んでいるのです。耳を傾けないのは、相手が何を言うか自分にはもうわかっていると思うからです。(中略)

実は私たちの誰もが、愛する人に関しては思いこみをする傾向にあります。これは「近接コミュニケーション・バイアス」と呼ばれています。

親密であることやお互いを深く知っていることはすばらしいのですが、そのため自己満足してしまい、自分にもっとも近い人たちの気持ちを読み取る能力を過信するという間違いを犯してしまうのです。

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夫婦、家族、兄弟姉妹、親友…など身近な人たちに対して思い込みをしてしまうというのも、なるほどなあと感じた部分。

  • 「これを言うときっとこう返してくるだろう」と思うから、相手へ伝える前に、伝えることすらやめてしまう
  • 「どうせこういう反応が返ってくる」と自分が知っていると思い込んでいるから、自分の気持ちに蓋をして、結果的に相手への不満を募らせてしまう

こういうことっていくらでもあるだろうなぁと思うし、過去を振り返ると私にも心当たりがあります。

愛情がないわけでも、思いやりがないわけではないわけでもないんですよね。

そこにあるのは、ただ「自分は相手をよく知っている」という思い込み

1年前の自分と今日の自分が違うように、1年前の相手と今日の相手も違う。

なんなら、昨日の自分と今日の自分だって、場所や時間帯によっては同じことを言われても全く同じ返答をするとは限らないんですよね。

相手といい関係を持ち続けたいと思うなら「きっとこう言うだろう」という思い込みは捨てて、素直に自分の気持ちを伝えよう

そんなことを考えた一節でした。

ナオミ・ヘンダーソンのこと

ナオミ・ヘンダーソンという女性がとても印象に残ったので、記録しておこうと思います。

彼女はフォーカス・グループのモデレーター。

フォーカス・グループというのは、製品やサービスやパッケージなどについて、グループ対話形式で自由に発言してもらい、消費者の率直な意見を集めるというマーケティングの一種です。

そのモデレーター(=司会役)を生業としている彼女は、すばらしい聞き手として名を馳せ、5万人以上から話を聞いたという経歴を持っているそう。

彼女について、印象的だったことをご紹介します。

1. 「なぜ?」という言葉は人を身構えさせる

彼女によると、人は「なぜ?」と質問されたとき、自分を正当化させなければならないと感じるそう。

相手から何かを聞き出したいときには「なぜ?」という言葉の代わりに、別のフレーズを使って相手から言葉を引き出すことを心がけているそうです。

聞きたいことがあれば「なぜ?」と質問してきたし、この言葉が相手を身構えさせているとはつゆ知らず、これまで何の疑問もなく使ってきました。

質問ではない方法で相手から言葉を引き出すというのはかなり高難度なテクニックが必要だと思いますが、日常の中で少しずつ意識しながら身につけていきたいと感じています。

2. 人の感情、習慣、動機を知るにはとにかく聴くこと

定量的な手法を用いればさまざまな予測を立てることはできるけれど、人の感情や習慣、動機などはこの予測をいとも簡単に超えてくると言います。

定量的な指標だけでなく、「聴く」ことにより得られる定性的な視点を持つことが大事な局面も多いということですね。

ビッグデータの時代だからこそ、聴くことの価値が高まると言えそうです。

3. 聴くときには自分の意見を表に出さない

ナオミにとって、聴くときにもっとも難しいのは、人の意見をそのまま受けとらず、自分の意見を挟みたい、という衝動を抑えることだそうです。(中略)

人と顔を合わせていると、自分の意見を正直に口にするという直接的な形か、もしくは誘導的な質問をするという間接的な形で、これが起こりえます。または、熱心にうなずいたり非難めいたため息をついたりすることで、非言語的に自分の意見を相手に伝えることもできてしまいます。

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誰かの話を聞きながら「ここで口を挟んではいけない」と思い、結果として「口を挟まずにすんだ」とホッとひと息ついた経験は何度もありますが、実は自分の表情や息づかいなどの反応により、自分の主張を相手に伝えていた可能性が高いというお話。

「相手に好きなように語ってもらいたい」と思っていたとしても、自分の意見が表に出てしまうと、相手がこちら側の反応を気にして、それなりの話に落ち着いてしまうという風になりがち。

相手が言うことをそのまま受け止めるという意識を持ちながら、言葉にせずとも相手に伝わってしまう表情やリアクションにも注意を払うことが大事なんですね。

私もこんな境地を経験してみたい!

うまくできるようになると、人々の暮らしを覆っているカーテンを開け、そこに何があるかを見られるようになります。そりゃあもう、他の仕事をしていたら絶対に知られなかったような、世の中のさまざまなことを私は学びましたよ。

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4. 聴くときの姿勢も意識する

ナオミは非常に落ち着いています。そして顔には、関心と受容の表情を浮かべています。目はどこかへ泳ぐことなく、指はそわそわすることなく、体は常にリラックスしてオープンな姿勢です。

彼女を数時間インタビューし、他の人とのやりとりの様子を観察しましたが、その間に一度も、ナオミは腕や足を組みませんでした。彼女は人といるとき、次の予定があるとか、ここにいたくないなどといった素振りは一切見せませんでした。

私の中でいちばん印象に残ったナオミの姿と言えば、テーブルの上に肘をついて両手に乗せ、目を大きく見開いて、まるで十代の少女のように嬉々として話を聞く様子です。

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彼女について書かれた章の最後にこの一節。

「話を聞いてもらいたい人ってこういう人か」とつい膝を叩きたくなるような雰囲気ですよね。

もし自分の目の前にこんな人が現れたら、あっという間に打ち解け、自分の心の奥底に眠っていた感情さえも引っ張りだして話をしてしまうだろうと容易に想像できます。

おびただしい数の「聴く」経験をしたからこそ身につけた、オープンマインドかつ何でも受け止めてくれそうな彼女の佇まいに、少しでも近づきたいと強く感じた一節でした

まとめ

今日は、ケイト・マーフィの「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」についてレビューしました。

「聴くこと」の重要性はさまざまなところで言われていますが、自分自身がどれほど適当に聞いていたかを身に沁みて感じ、改めて「聴くこと」について意識し直そうと思えた大切な一冊になりました。

どなたかのご参考になれば嬉しいです^^

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この記事を書いた人

2歳、0歳の女児の母。2022年5月よりフルタイムワーママになりましたが、現在は第二子の育休中。風通しよくスッキリと、好きなものに囲まれて心地よく暮らしたい。

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