「べつに怒ってない」武田砂鉄 | 武田さんのつぶやきに応えてみた

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こんにちは、yukiです。

先日、はじめて武田砂鉄さんの著書を読みました。

大好きな写真家の方が「武田さんのPodcastがおもしろい。著書も全冊読んでいる」と聞き、気になっていた武田さん。

「砂鉄堂」という、武田さんが本にまつわるいろんな話をするというコンセプトの番組をPodcastで聞いてみたところ、淡々とお話をされる声が心地よく、独特な視点をお持ちだなぁ、考えることが好きなんだなぁという印象を受けました。

そして、昨年7月に出されたこちらの本も読みました。

前書きには「わざわざ考えなくてもいいことばかり考えている」著者が「だからなに、と思われそうな文章」ばかりを綴っており、「だからなに(×4回)と続き、その次くらいにようやく『いや、わたしはこう思うけど』と漏らしたくなったら嬉しい」と書かれています。

武田さんのつぶやきを集めたようなこの本に触発され、わたしもここに書かれたエピソードに対して感じたことやふと思ったことを書いてみようかなという気になりました。

たまたまラジオから聞こえてきたような武田さんから投げかけられた雑談に、自分も雑談で返すという試み。

武田さんの100分の1くらいしか物事を考えていないので、自分の浅い考えを世にさらすことへの恥ずかしさもあるけれど、まったりしたカフェで話をしているような、他愛もないおしゃべりだと思ってお読みいただけるとうれしいです。

目次

本の概要

著者

武田 砂鉄

1982年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014 年よりライターに。近年ではラジオパーソナリティーも務める。『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、のちに新潮文庫)で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。他の著書に『日本の気配』(晶文社、のちにちくま文庫)、『マチズモを削り取れ』(集英社)などがある。

べつに怒ってない(Amazon)

出版

  • 出版社:筑摩書房
  • 発売日:2022/7/19

内容

いつ読んでも、どこから読んでもなんだか面白い! タイムレスな魅力のあるエッセイ集。

◎居酒屋のトイレの男女表記が騎士と貴婦人なのはやめてほしい
◎郵便物を待つのが好き
◎歯医者の時間を決めるスムーズなやり方がわからない
◎クレーマーおじさんと喫茶店で相席になり、メニューを取る手が重なったが恋は生まれそうになっていない
……などなど、見逃せないほどでもないが、気にならないわけではない現象に拘泥し、考えすぎのプロ・武田砂鉄らしいしつこさで考えを深めていく!
不毛な考えが豊かに花開く、「日経MJ」連載から厳選したエッセイ123本詰め。

べつに怒ってない(Amazon)

タイトルごとに雑談していく試み

「内容」でも引用しましたが、この本には123本のエッセイが綴られています。

Amazonページに書かれた目次の前半がこちら

武田さんという人は、とことん考える力だけでなく、それに匹敵するほどの筆力もお持ちらしく、この本には、日常生活で起きる本当にささいな一場面を、まるで目の前で見せられているかのようにイメージさせる力も備わっていました。

すべての話は見開き1ページで完結するのですが、その結び方がとても良くて

  • さりげないツッコミで締める
  • 読者への問いかけで締める
  • つい「わたしは…」と続けたくなるような表現で締める

とにかく、肩の力が抜けていて、それでいて読み手はさりげなくボールを渡されたような気持ちになり、何か言いたくなるんです。

その余韻がまったくイヤな感じではなく、重い感じでもなく、ちょうどいい余韻なんですよね。

そんな武田さんにそそのかされ、つい「わたしはね…」と言いたくなったエピソードに、ふと思い出したことや感じたことなどを書いていきます。

これより下の見出しはエッセイのタイトルになっています

1. べつに怒ってない

「怒ったところでナポリタンがどうなる」と返す。本気でそう思っている。

べつに怒ってない(Amazon)

喫茶店の店員さんから、ナポリタンを背中に落とされたとき、澄まし顔でシャツを脱いだ」という武田さん。

このときの武田さんの気持ち、分からなくもない。

シャツにナポリタンをこぼされたら、怒るというよりもむしろちょっと面白くなり、笑い出してしまいそうな気がする。

もちろん、時間に余裕がなかったり、自分自身が他のことでいっぱいいっぱいなタイミングであれば、カッとなったり、冷静な自分を取り戻すまでに少し時間を要するような気もするけれど。

最近いつ怒ったかなぁと考えてみると、それなりにショックなことがあったり、意見の違いがなかなか埋まらずに悩んだり、少し嫌な気持ちになったりということはあっても、感情的に怒ったことはまったく思い出せない。

ただ記憶力が悪いだけなのか、武田さんのように、怒り以外の方向へ気持ちがいってしまうタイプなのか。

あ、そういえば、数ヶ月前に、なんでも口に入れたい1歳の娘がわたしのAirPodsを口に入れ、イヤーピースを噛みちぎったのを目にした瞬間は、自分の怒りボルテージがカッと跳ね上がるのを感じた。

ただ、何も分かっておらず、当然悪気なんて一切なくニコニコしている娘を目にすると「あなたにこれを渡した自分に落ち度があった」と思うしかなく……10秒くらい自分に言い聞かせ続けて何とか落ち着く、ということはあったかな。

これは「感情的に怒った」という分類に入るのでしょうか。

武田さんは「人に対して、感情的になって怒ったことが一度もない」と書かれていたけれど、こんな風にボルテージが上がることもないのか……一度聞いてみたい。

2. 夢と旅行の話

昨日見た夢の話と、行ってきた旅行の話にはよほどの注意が必要で、聞く側を代表して言わせていただくと、あれ、さほど面白くないのである。

べつに怒ってない(Amazon)

身の回りの人から旅行や夢の話を聞いたときに感じることを、こんな風に言語化したことってなかったけれど、言われてみれば「へぇーいいね!」とか「おいしそう!」というリアクションをしていても、本当にいいね!と思っているときと、口にした言葉ほどのテンションでは思っていないときがあることを思い出した。

夢や旅行と似たようなところでは、以前どこかで、兄弟など身内の話もまわりはリアクションに困ると聞いたことがあり、周りから聞かれない限り話さないようにしている。

この話のように、言われてみればそうかも…と他人に思わせるようなエピソードを思いつく人は、武田さんと同じくさまざまなモノやコトに対していろんな角度から見たり考えたりしているんだろうなぁ。

こういう人の本を読むと、日頃、いかに自分が楽観的で何も考えていないかということに直面した気持ちになる。

3. ドタバタしてください

子供と言うのはドタバタする生き物なのだから、気をつけてほしいとは思わない。大人になった自分は、今でこそドタバタしないが、これまでドタバタしながら成長してきたんだし、どうぞドタバタしてもらって構わないですよ、と思う。

べつに怒ってない(Amazon)

わたしは自分に子どもが生まれてから、やっと武田さんと同じような感覚を持つことができるようになったけれど、子どもを持つ前は、街で子どもを見かけたかどうかも思い出せないくらい、子どもに目が向いていなかった。

子どもの前は基本素通りだったので、子どもが走っているのを見てニコニコしてくれる人や、子どもが騒いでいるのを「可愛いわねぇ」と口には出さないまでも、その表情に心の声が現れている人がいると、本当に恐縮する気持ちになるし、きっと子育てを経験した人なんだなぁと思ったりする。 (たまに口にも出してくれる人さえいて、大変ありがたい気持ちにもなります)

中には、20歳前後くらいの学生さんのような身なりで「絶対子どもいないよね?」と思われる人までも、娘の言動を見て目を細めてくれることがあって。

そういう人に出会うと「生まれながらの深い母性が宿っているんだろうなぁ、あなたに将来子どもができたらきっといいお母さんになりますよ」と、聞かれてもいないし、まったくの筋違いかもしれないし、口には出さないので一生伝わることはないけれど、心の中で声をかけてみたりしている。

4. たいいく!

彼らは、言葉というものを獲得してから、そんなに時間が経っていない。知っている言葉であっても、それを知ったのは最近なのだから、彼らはまだ、言葉と柔軟に付き合っている状態にある。

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なるほど〜、子どもは言葉との距離が出来上がっているわけでないので、言葉に対して柔軟に付き合うことができるというのはこれまで触れたことのない考え方。

こういう、自分とはまったく違う生き方をしてきた人、普段の生活ではすれ違うことさえなさそうな人の頭の中を覗き見をして、はじめて触れる考え方に出会うのがとても好きで、本を読む醍醐味のひとつだと思っている。

言葉との距離感についてこれまで考えたことはなかったけれど、たしかにもっと小さい頃は多くの言葉を持っておらず、それぞれの言葉との距離感にもバリエーションがあったように思う。

  • 聞いたことはあるけど実際に使ったことがない言葉
  • 大人っぽくて、使ってみたいけど使うのが恥ずかしい言葉
  • 誰かが使っているのを聞いて自分も使いこなせそうと思った言葉

自分が認識していた意味合いではない意味を持つ言葉に出会うと、急に大人になったような、世界が少し広がったような気持ちになったりも。

20代の頃は、それなりに言葉に対して新鮮な感覚を持つこともあったと思うけれど、30代になってからはもう少し「なあなあの関係」になっているような気もする。

新しい言葉に出会っても、大した驚きを感じることも、新鮮さを感じることもなく、受け止め方が安易になったというか、適当になったというか。

一方、言葉の大切さに気付いたり、語彙力の豊さを手に入れたいと思ったりする気持ちは年々増えていくので、そう思う自分との矛盾に気付いておもしろいなぁと感じたりもする。

5. 昨日もカレー

時間感覚ってバラバラのままなのが、なんだかイイ。揉め事も増えるが、寛容さを試す機会も作る。

べつに怒ってない(Amazon)

時間に対してそれぞれの人が持つバラバラな価値観をそろえにいく必要はなく、誰もが自分にとっての当たり前を持っていて、それを尊重し合う。

他人にもその当たり前はあるということを受け入れていこうという提案。

これとは別に「曖昧なものが好き」ということについて書かれたパートがあったけれど、武田さんはそれぞれの個性を許容し合う世界を望んでいるんだろうなという気がする。

6. 曖昧を欲する

常に自意識をはっきりさせながら仕事をしているわけでもないのだが、曖昧な事柄のど真ん中に自分がいて、結局、落ち着くことなく、うやむやにされる感覚を大切にする。明確より曖昧を好む。「曖昧だったけどわかった」より「曖昧なままになっちゃった」を好む。

「曖昧」に身を置くのが好きだ。

べつに怒ってない(Amazon)

たまたま、アートの展覧会へ行った帰りの電車でこのページを開いたので、この曖昧を欲するという感覚がそのときの気分にかなりしっくりきた。

白黒はっきりした世界ではなく、曖昧でグレーな世界を好む。グレーな世界に身を置くことを好む。

人間関係でも、仕事で何かを進めようとするときでも、グレーはグレーのまま置いておいたほうがいいことはある。

でも、なんとなくここで武田さんが言っているのはもう少し違うことのような気もしていて。

「グレーのままにしておくことが良しとされている世界」を認めるという話ではなく、「グレーな感じで存在しているものを、どのカテゴリーにはめるでもなく、ただそのまま受け入れる」のであって、そこに認めるとか認めないといった意識そのものが介在しないというか。

うーん、なんか違う。

書いているとどんどん分からなくなってきたのでここで止めておくけれど(武田さんのように突き詰められない)、とりあえず、わたしも「曖昧なまま存在する」という感覚に敏感になってみたいと思った。

7. 何かをしない

コラムというのは、「した」を書くものだと思われている。でも正直、話題の人に会ったとか、予約しないと入れない店に偶然行けたとか、ダイエットに成功したとか、そういう「した」をずっと書いているだけのコラムを読むと、「この人は、自分のしたことを人に伝えることに、そんなに大きな価値があると思っているのだろうか?」と懐疑的な見方が勢いよく浮上してくる。

そういう人だって、「したこと」の量よりも、「しようと思ったけどできなかったこと」や「なんかよくわかんないけどひとまず考えてしまったこと」のほうが多いはず。日々生きている上で、そっちのほうを大切にしているのだが、皆さんはどうなのだろう。

べつに怒ってない(Amazon)

つい、こちらが何か意見を言いたくなるような内容と問いかけ。

自分にこの問いかけをしてみると、わたし自身は「したこと」に対して気持ちが向くタイプで、「しようと思ったけどできなかった」ことに意識を向けたことがほとんどないことに気づいた。

でも、今日一日を振り返ってみたところ、「しようと思ったけどしなかったこと」は意外とたくさんあることに気づく。

  • 娘と公園へ行こうと思ったけど行かなかった(一人でカフェに行くことにした)
  • 久々にファミレスのドリンクバーを経験しようと思ったけどやめた(カフェにした)
  • ミスドでドーナツを食べようと思ったけど行かなかった(Tully’sにした)
  • 甘い飲み物を飲もうと思ったけど頼まなかった(ブラックコーヒーにした)

カッコ書きのところは実際に選んだ自分の行動だけれど、「した」ことよりも、「しようと思ったけれどしなかった」ことの理由をそれぞれ考えてみるほうが、自分の考え方のクセや思考回路が見えてくる気がする。

まとめ

今回は、「べつに怒ってない(Amazon)」に書かれたエッセイに雑談でお返しするという試みを勝手にやってみました。

気づきや学びを得られるような読書も好きだけれど、何気ないことが淡々と書かれ、強いメッセージ性や主張がない本を読む時間というのも、心置きなく付き合える人たちと語り合う時間に似ていて好き。

「あくまでも自分の考えはこうだけれど、あなたは好きなように考えてね」と言われているような、ポンと手土産を置いていかれたような読後感。

とても心地よかったです。

このレビューが、どなたかのご参考になれば嬉しいです^^

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この記事を書いた人

2歳、0歳の女児の母。2022年5月よりフルタイムワーママになりましたが、現在は第二子の育休中。風通しよくスッキリと、好きなものに囲まれて心地よく暮らしたい。

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