「すこやかなほうへ」小川奈緒 | 芯の通った言葉に背筋がスッと伸びる

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こんにちは、yukiです。

昨年からVoicyで聴き始めた小川奈緒さん(以下、奈緒さんとお呼びします)の新刊、「すこやかなほうへ(Amazon)」を読みました。

奈緒さんは元編集者で、現在は文筆家、そしてVoicyパーソナリティでもあります。

昔ながらの縁側があり、古い佇まいを残す家に、ご家族3人で暮らすその暮らしぶりにも注目されていて、千葉県松戸市にあるご自宅で開かれるワークショップも大人気。

そんな奈緒さんが書かれた初のライフスタイル本。

普段のVoicyの放送を聞く中で、言葉を丁寧に紡ぐ人という印象を持っていたけれど、自分自身に向き合い、葛藤されてきたからこそたどり着いた境地のようなものを感じ取ることができ、とても爽やかな読後感を味わうことができました。

この本の中で印象に残ったことを3つに絞ってレビューします。

目次

本の概要

著者

小川 奈緒

1972 年、千葉県生まれ。エッセイスト、編集者。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。出版社のファッション誌編集部を経て、2001 年よりフリーランス。暮らしや家づくりなど、ライフスタイル全般をテーマにした著書多数。音声メディア「Voicy 」パーソナリティー。

すこやかなほうへ(Amazon)

出版

  • 出版社:集英社クリエイティブ
  • 発売日:2022/12/5

内容

小さなことにも、耳を澄ませて。
違和感をそのままにせず、自分が納得のいくことをする。
その積み重ねが、きっと「今日のすこやかさ」につながっている――。

編集者・エッセイストの著者による、今とこれからの“ちょうどいい”暮らし方。

生活は、自分の思い通りにいかないことだらけ。でも、その渦にただのみ込まれていては、イライラしたり、落ち込んだりするばかりです。
そこから脱して、心身がもっとすこやかでいられる場所は、さてどっちだろう? AかBかを選択するだけでなく、「なんとなくこっちの方向」でもいいから、まず動いてみる。ヒントも答えも自分のなかにしかなくて、それを探す思考や行動の過程を書いています。
(本書「はじめに」より)

どこにどう住むか、どんな目的で働くか、何にお金を使い、何を手放すのか。
心身ともにすこやかに、自分らしく暮らすためのヒント満載。カラー写真入り。

すこやかなほうへ(Amazon)

1. 違和感をそのままにしない

自分の心に正直に、自分が心地よいと感じることを淡々と続けていく

それは同時に「自分にとっての心地悪さ」に敏感になり、違和感を覚えるものとは距離を取ることでもあります。

わたし自身、直感や違和感を大切にしたいという思いはありながらも、日々忙しく過ごす中で常にそこを意識できているかというと全くそんなことはなく、むしろやらなければいけないことにばかり目が向いてしまいがち。

年初に今年の漢字を決めたとき、「直感力を育む」ことを目標のひとつにしましたが、なかなか意識できないものだな…と改めて感じています。

奈緒さんが、暮らしの中で意識しているのは常に自分の感覚で、他人軸はそこにないんですよね。

自分の興味が惹かれることをやり、やってみたら気持ちよかったことをつづけ、合わないと感じたことからの距離を置く。それをくり返している暮らしが、他人からはていねいに見えるなら、それは相手が抱いた印象であって、わたしが暮らしていく姿勢はなにも変わらないと思っています。

すこやかなほうへ(Amazon)

他人軸が自分の価値観に与える影響はだんだん少なくなってきた気はするけれど、直感や違和感を大切にできているかというとまだまだ道半ば。

「暮らす」ことに対する奈緒さんの姿勢を折に触れて思い出しながら、直感と違和感を意識した暮らしを送りたいと改めて感じました

2. 年齢を重ねてたどり着ける境地

40代が見えてきた今、自分の人生を振り返って思うのは、人生のどん底だと感じる時期もあれば、とても安定していると感じる時期もあり、さまざまな経験をしたからこそ今の自分があるということ。

  • 「なんでわたしがこんな思いをしなきゃいけないの」と感じたり
  • 周りの友達がうらやましくて仕方がなかったり
  • 終わりが見えない暗いトンネルの中にいるような気持ちになったり

こんな風に感じていたときは本当にしんどかったし、早くここから抜け出したい一心でした。

でも、こういう経験をしていなければ今の自分はいなくて、今の仕事にも、今の家族にも、もちろん娘にも出会えていなかった。

そう思うとあのとき、あの人から与えられた試練があったからこそ今の自分がいるということになり、そうなるともう、これまで出会ってきたすべての人に感謝しかないという気持ちにもなります。

これからも、当然浮き沈みはあるだろうし、今の穏やかさがいつまで続くかも分からないし、ささいなことで夫にムッとする瞬間もなくなりはしないだろうし、数年経ったらまた暗闇をさまよう自分に戻っているかもしれないけれど。

それでも一度暗闇を経験しているので、どのような心持ちで過ごせばいいのか、どういう風に対処をしたらいいのか、N=1ではあるけれど一度どん底を経験して乗り越えた経験は大きいという風にも思うのです。

また、つい数年前まで、隣りの芝が青く見えたり、幸せそうな人や活躍している人を見るとうらやましいと思う気持ちが強く出ることもあったけれど、30代はまだそういう時期なんだろうなぁと思うようにもなりました。

「他人と比べず、自分の幸せを感じる」

言葉にすれば簡単だけど、これがいかに難しいかは40年近く生きてきた中で実感しています。

でも、焦ってジタバタしたところですぐに理想の自分になれるわけではなく、時間でしか解決できないこともある。

実感を伴ってこんな風に感じるようになったのはここ最近のことです。

歳を重ねることで見えるもの、歳を重ねないとたどり着けない境地はあるし、その対象やタイミングは人によってさまざま。

「今を楽しみ、自分が持つ幸せを味わっていると、気づいたら他人と比較する世界から抜けている」なんてことが起きるかもしれないなぁと、割と本気で思ったりしています。

あのころ、わたしが適任として選んでもらえなかったことは、人生にも仕事にも、まったく残念なことじゃなかったと。むしろよかった、とも思わないし、もし選ばれていたら、そちら方面の仕事が増えていったかもしれない。けれど、現在わたしが立っている、ここでいいと思えている場所にはいなかったかもしれない。

だから、しかるべき落選だったのです。

すこやかなほうへ(Amazon)

しかるべき落選」というのもとても印象的な言葉。

こんな風に心から思える40代になりたいものです。

3. 言葉に対する感度を高める

このエッセイの中で、奈緒さんが選んだ言葉にはひとつとして嘘がなく、「思考や感情に対して少しでも違和感が含まれる言葉は一言たりとも入れない!」という強い思いさえ感じられます。

それは、言葉に対してだけでなく生活のすべてに対しても同じで、自分自身の声に向き合い続け、自分自身を見つめ続けているからこそ、変化していく価値観とともに違和感にも目を向け、違和感を覚えるものをひとつずつ排除していった結果が今の暮らしや価値観につながっているんだろうな、と。

こんな風に言葉を紡げるひとになりたいし、人生や暮らしへの向き合い方にも憧れます。

奈緒さんが、なぜ今のような価値観を身につけることになったのか考えてみると、言葉を扱うことを生業にしてきたというのが大きな要因のひとつではないかということに思い至りました。

最近、「『言葉にできる』は武器になる。」という本を読み、内なる言葉に対して敏感になっているというのもありますが、内なる言葉の解像度が高ければ高いほど、見える世界の解像度も高まっていくというのはおそらく真実。

そして、仕事として言葉を扱うことに向き合い続けてきた奈緒さんは、ほかの人よりも、さまざまなシーンで適切な言葉を選ばなければならない局面が多かったと思うんですよね。

言葉を生み出すためには自分の中にある内なる言葉を常にブラッシュアップしていく必要がありますが、内なる言葉に向き合い続けた結果、小さな変化に気づき、自分の好みが分かり、価値観が明確になり、奈緒さんのような心地よいものに囲まれた暮らしが手に入る

内なる言葉は、使えば使うほど研ぎ澄まされていくものだと思うので、わたしも改めて内なる言葉を見つめ、磨く時間を作ろうと思います

まとめ

今回は、小川奈緒さんの「すこやかなほうへ(Amazon)」を読んで感じたことをまとめてみました。

芯の通った奈緒さんの文章を読むだけで、スッと背筋を伸ばそうというという気持ちになり、ことばの力を改めて感じます。

自分にとっての心地よさを見つけ、心豊かな50代を迎えたい人たちすべてにオススメの一冊。

このレビューが、どなたかのご参考になれば嬉しいです^^

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この記事を書いた人

2歳、0歳の女児の母。2022年5月よりフルタイムワーママになりましたが、現在は第二子の育休中。風通しよくスッキリと、好きなものに囲まれて心地よく暮らしたい。

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